ひびめも

日々のメモです

重症筋無力症: サブグループ分類と治療戦略

Myasthenia gravis: subgroup classification and therapeutic strategies.
Gilhus, Nils Erik, and Jan J. Verschuuren.
The Lancet Neurology 14.10 (2015): 1023-1036.

 

重症筋無力症の患者さんがいたもんですから...。

 

1. 背景
骨格筋筋力低下を特徴とする様々な疾患の背景に、神経筋接合部の機能障害がある。これらの疾患の中でも遺伝的なものは、先天性筋無力症と呼ばれる。ボツリヌス毒素やクラーレなど、一部の毒素は神経筋接合部機能障害を引き起こす。後天的な抗体介在性のものとして、自己免疫性や新生児重症筋無力症、Lambert-Eaton筋無力症候群、ニューロミオトニアが存在する。
重症筋無力症は神経筋接合部疾患の中で最も大きな疾患群を形成しており、これはシナプス後膜の筋終板の構成要素に対する病原性自己抗体によって引き起こされる (図1)。典型的には、筋力低下の重症度は変動する。すべてではないものの、一部の筋肉が侵され、これは必ずしも対称的ではない。筋活動の持続による筋力低下の増強は、重症筋無力症の診断の手がかりとなるが、こうした臨床特徴は多様である。重症筋無力症患者は、診断や最適治療、予後予測の観点からサブグループに分類されるべきである。重症筋無力症ガイドラインとコンセンサスレポートでは、サブグループ化は推奨されているが、正確な定義にはばらつきがあり、知識の蓄積の結果として新しいサブグループも登場している。こうしたサブグループは重症筋無力症の自己抗体、疫学、臨床表現型、合併症を考慮しており、本レビューの後半でもこれらについて扱う。少数の患者では、不十分な抗体検査や、イメージングの検出閾値下の変化を呈した胸腺病理などの影響で、正確な情報が不十分となり、サブグループ化ができないこともある。

図1. 神経筋接合部: (A) AChRとMUSKは接合部ヒダの頂点に発現している。(B) 栄養シグナル: agrinがLRP4–MUSK複合体に結合すると、AChRの凝集が起こり、plaque formからpretzel formへの移行が促進される。(C) 活性化シグナル: AChRにアセチルコリンが結合すると、中央イオンチャネルが開き、膜の脱分極が起こり、筋活動電位を誘発し、筋線維の収縮につながる。

AChR (acethylcholine receptor)、MUSK (muscle-specific kinase)、LRP4 (lipoprotein-related protein 4) に対する自己抗体は、重症筋無力症に対して高感度かつ高特異度の確立した診断マーカーかつ病原性因子であり、これらの自己抗体は重症筋無力症のサブグループ化に有用である。このため、自己抗体検査が利用可能であることは、適切な診断と治療に必要不可欠な条件である。
現代の免疫抑制治療、対症療法、支持的治療によって、重症筋無力症患者の予後は改善している。軽度から中等度の症状を呈するほとんどの患者は完全寛解または顕著な改善を経験する。重症例では完全寛解は稀であり、一般にある程度の時間的変動を呈するが、持続的な進行というのは典型的ではない。重症筋無力症では、日常生活機能は概ね保たれ、寿命が短縮するということはない。患者のほぼ全員が長期間の薬物療法を櫃王とする。これらの患者のうち10-15%では、疾患の完全制御が不可能であるか、免疫抑制療法の重度の副作用という犠牲を払う必要がある。
先進施設における治療プロトコルは、対照研究やこうした研究に基づくガイドラインに純粋に基づいたものではない。これは、この疾患に関しては対照研究があまり存在せず、かつ診断サブグループ間の治療反応性の違いを考慮できていないからである。重症筋無力症は稀な疾患であり、ほとんどの患者が既存の治療によってよく反応するが、この2つの側面はどちらも新しい試験にとって障壁となる。我々は、対照研究、コンセンサス報告、専門家の視点を、重症筋無力症のサブグループに関連する理論的および実験的研究から得られた洞察と統合し、病態生理学的プロセスに対して介入する治療法を含めた治療戦略についてのエビデンス基盤を評価する。

 

2. 重症筋無力症の自己抗体
AChR抗体は重症筋無力症に高い特異度を持ち、この抗体の存在と筋力低下によって、疾患の存在が確認される。さらなる診断的検査は、サブグループと疾患重症度を定義するためにのみ必要である。AChR抗体の反復検査の価値は議論の残るところであるが、抗体価の変化は免疫抑制治療下の患者における疾患の重症度を予測しうるため、治療の選択をサポートできる。AChR抗体濃度と疾患の重症度の間に相関は示されていない。AChR抗体はAChRをクロスリンクすることによって、補体の結合と活性化を介して受容体の崩壊を加速させ、AChRのコンフォメーション変化またはアセチルコリン結合のブロックを誘導することによって、直接的病原性を発揮する。放射免疫沈降法はAChR抗体測定の標準的市販検査であり、定量的測定を可能にする。Cell-based assayはこれよりも高い感度を持つが、商用に利用可能ではなく、標準化もされていない。放射活性を持つリガンドを避けた検査としてELISAや蛍光標識検査なども用いられるが、これらは放射活性を持つリガンドを用いるよりも感度の点では劣る。
MUSK抗体の標準的検査は放射免疫沈降またはELISAである。Cell-based assayは研究レベルで感度の向上のために用いられる。MUSK抗体は実験動物モデルにおいて直接的病原性を発揮することが確認されているが、主に存在するIgG4抗体は補体結合性を示さない。患者のフォローアップのために反復検査を行うことの意義は確立されていないが、これは前向きの質の高い研究が未だ行われていないからである。
LRP4抗体は生体内で膜蛋白質に結合し、agrin-LRP4相互作用をブロックし、膜上のAChRクラスタリングを阻害する。LRP4-MUSK相互作用の干渉も、このサブグループにおける重要な疾患メカニズムとなりうる。LRP4で免疫されたマウスは典型的な重症筋無力症を発症する。このため、LRP4抗体はAChR機能を阻害することで直接的な病原性を発揮すると考えられる。
Agrin抗体も、AChR、MUSK、LRP4抗体を持つ重症筋無力症患者の一部で検出されている。AgrinはAChR機能に必要不可欠だが、この抗体が筋力低下に寄与しているかどうかは未だ明らかでない。同様にcortactin抗体も、他の自己抗体を伴うまたは伴わない重症筋無力症で報告されている。Titin抗体とリアノジン受容体抗体は、AChR関連重症筋無力症の患者の一部で報告されている。Titinは細胞構造の柔軟性を維持する一方で、リアノジン受容体は筋小胞体のカルシウムチャネルであり、筋細胞の収縮を仲介する。
Titinとリアノジン受容体抗体は、生体内では筋細胞内に侵入できないと考えられ、筋力低下の原因にはならない可能性があるが、疾患のマーカーにはなるかもしれない。これらの抗体は胸腺腫関連重症筋無力症では高頻度に認められているが、若年発症重症筋無力症では極めてまれで、後期発症重症筋無力症では中間頻度である。これらはMUSK、LRP4、抗体陰性重症筋無力症における標準的検査では検出されない。Titinとリアノジン受容体抗体は50歳未満の患者で胸腺腫を診断するために用いることもできる。これらの抗体は、長期間の免疫抑制治療を必要とし、胸腺摘除術に反応しないような、重症度の高い重症筋無力症のマーカーとして提唱されている。ELISAによる商用検査はtitinに対しては利用可能だが、リアノジン受容体抗体に対しては未だ商用のものは存在しない。

 

3. 疫学
自己免疫性重症筋無力症は100万人に40-180人程度の全世界有病率が報告されており、1年間で100万人に4-12人が発症する。近年発表された有病率と発症率は、過去のものと比べて高い傾向にあり、特に後期発症重症筋無力症ではこの傾向は強いが、これは部分的には抗体検査が広まって症例の検出率が高まったことによって説明可能である。また、高齢者の増加を伴う人口分布の変化や、重症筋無力症の生命予後の改善も、発症率と有病率に影響を与えている。AChR関連重症筋無力症は発症年齢が2極化しており、30歳ほどの若年成人でピークをとり、次に50歳以上になると発症率が単調増加する (なお80歳以降は新規発症は減少に転ずる)。若年成人の発症ピークは、数多くの自己免疫性疾患に典型的な若年女性のピークと合致しており、実際に若年患者は女性が多いが、後期発症重症筋無力症ではわずかだが男性に多い。この疾患の発症が感染や食事などの外的因子の変化によって引き起こされるというエビデンスは存在しない。
全体で見ると、重症筋無力症の発症率と有病率は地理によるバリエーションに乏しいが、サブグループ別にみるとこの分布は必ずしも当てはまらない。青年期重症筋無力症は若年発症のサブタイプであるが、これは東アジアで高頻度に認められ、約半数が15歳以下で発症し、かつその多くが眼症状を伴う。小児 (15歳未満) における重症筋無力症の発症率は、人種を問わずに見てみるとカナダでは1年間で100万人に1-2人だが、この中ではアジア民族が最も多い。LRP4抗体はAChR抗体陰性患者の19%で記録されており、MUSK抗体はAChR抗体陰性患者の1/3で認められている。疫学データによると、LRP4関連重症筋無力症はMUSK関連重症筋無力症の半数程度の頻度である。MUSK関連重症筋無力症は1年間で100万人に0.3人の発症率と推定されており、有病率は100万人に2.9人で、北ヨーロッパよりも南ヨーロッパでより一般的である。遺伝的素因と感染や食事などに関係する外的因子は、こうした地理的バリエーションを説明しうるのかもしれない。

 

4. 臨床表現型
筋力低下は主要な症状かつ徴候である。筋力低下の局在と時間的変動、運動によって誘発される筋力低下は、一般にあらゆるサブグループに対する疾患の診断に強い根拠を与える。外眼筋筋力低下を球症状を呈する高齢者では、脳幹の脳血管疾患がしばしば疑われる。若年者では、非特異的な疲労症状が鑑別診断の一部になりうる。
重症筋無力症の筋力低下は外眼筋、球、四肢、体幹筋に認められる。患者の60%は眼瞼下垂または複視を呈し、20%ではこれらの症状のみが現れるため、眼筋型重症筋無力症と呼ばれる。外眼筋筋力低下はほぼ常に非対称性である (図3) が、四肢筋力低下は対称性で、遠位よりも近位筋に強い (図2)。骨格筋はすべてが自己免疫標的蛋白質を発現していることを考えると、この症状の分布は驚くべきことである。これは、神経筋伝達、筋細胞脱分極/収縮、免疫攻撃に対する抵抗性、筋構造の再生能力などに影響を与える数多くの軽微な因子から生じるものである。

図2. 筋力低下の分布とサブタイプの相対的頻度: AChR=acetylcholine receptor. MUSK=muscle-specifi c kinase. LRP4=lipoprotein-related protein 4. LEMS=Lambert–Eaton myasthenic syndrome.

図3. AChR関連重症筋無力症の2人の患者. (A) 外眼筋麻痺 (右目の内転に注目) と左眼の眼瞼下垂を呈した女性の患者。(B) 外眼筋麻痺 (左眼の上転に注目) と右眼の眼瞼下垂を呈した男性の患者。(C) 患者(B)の免疫治療後の1年後の写真。

 

5. 合併症
若年発症かつ眼筋型のサブグループは、臓器特異的および全身性の自己免疫疾患を有する頻度が高く、特に甲状腺炎の頻度は高い。胸腺腫関連重症筋無力症患者は血液学的自己免疫疾患を発症するリスクが高い。胸腺摘出術は感染、自己免疫疾患、悪性腫瘍のリスクを上昇させるということは示されていない。重症筋無力症の筋力低下は気道感染や骨粗鬆症のリスクを上昇させたり、肥満やその他の合併症を発症させる可能性もある。重症筋無力症では、幅広い自己免疫性炎症性筋疾患が起こりうる。AChR抗体陽性と重症筋無力症様の特徴は、筋萎縮性側索硬化症の患者で時折記載されている。
複数の研究において、重症筋無力症とそのサブグループにおける発がんリスクについて研究が行われている。重症筋無力症患者の選択、腫瘍検出感度、フォローアップ期間、コントロール群の種類などによって生じる手法的限界は、様々な結論を導いた。胸腺腫自体が一般的に他の癌種の中等度のリスクとなる可能性がある一方で、デンマークで行われた集団ベースの研究によれば、重症筋無力症とその免疫治療は癌の発生と有意な関連を示さなかった。これにはメラノーマ以外の皮膚癌を除外したことが関係しているかもしれない。
AChR、MUSKおよびLRP4抗体は心筋とは交差反応しない。ある集団研究では心臓因子に関連した罹患率や死亡率の増加は見られなかった。しかし、心臓の生理学的機能はこれらの抗体の影響をわずかに受ける。重症の心筋炎や心伝導障害を呈した胸腺腫関連の後期発症重症筋無力症の症例報告は多く、これは心筋への自己免疫によって引き起こされたものの可能性がある。重度の重症筋無力症の増悪中には心機能モニタリングが推奨されており、特にこれは多様な自己抗体を持つ患者ではなおさらである。

 

6. 重症筋無力症のサブグループ
6-1. AChR抗体による若年発症重症筋無力症
定義として、若年発症重症筋無力症は発症年齢が50歳未満のものをいう (表1)。血清AChR抗体は標準的な診断検査で検出される。画像検査や手術によって胸腺腫が認められた患者はこのサブグループからは除外される。胸腺濾胞過形成はしばしばおこるが、これは必要条件ではなく、この群は胸腺切除術に反応する。男女比は3:1で女性に多い。若年発症重症筋無力症はHLA-DR3、HLA-B8、その他の自己免疫リスク遺伝子と関連する (表1) 上に、患者の親族でもあらゆる自己免疫性疾患が幅広く報告されている。これらの発見は、重症筋無力症の発症機序にサブグループ間の違いが存在することを示唆する。

6-2. AChR抗体による後期発症重症筋無力症
後期発症の定義は、発症が50歳以上であることである。この群では、血清AChR抗体が存在し、胸腺腫は画像検査や手術で明らかでなく、そして胸腺過形成はごく稀にしか起こらない。これらの患者は胸腺摘除には反応しないことが多い。発症はわずかだが男性に多く、HLAとの関連は弱いが、HLA-DR2、HLA-B7、HLA-DRB1*15:01と関連が報告されている。

6-3. 胸腺腫関連重症筋無力症
胸腺腫関連重症筋無力症は傍腫瘍性疾患である。重症筋無力症は現状で胸腺腫に関連した自己免疫性疾患として最も幅広く報告されている疾患だが、赤芽球癆とニューロミオトニアも胸腺腫と関連する。この関連性はその他の自己免疫性疾患では認められない。胸腺腫は重症筋無力症の全患者の10-15%で認められる。ほとんど全員がAChR抗体を有し、全身型の疾患を呈する。胸腺腫を持つ約3割の患者が重症筋無力症を発症し、発症しなくともより多くの患者がAChR抗体を有する。

6-4. MUSK関連重症筋無力症
MUSKはシナプス後膜に発現する蛋白であり、AChRと機能的に関係しており、AChR機能を維持するために必要である。全体として重症筋無力症の1-4%の患者がMUSK抗体陽性であるが、検査感度の向上に伴いおそらくより多くの症例が同定されることになろう。MUSKとAChR抗体が同一患者で共存することは稀である。MUSK関連重症筋無力症はほとんどが成人症例であり、高齢者や小児期に報告されることはほとんどない。胸腺の病理学的変化は報告されておらず、患者は胸腺摘除術に反応しないことが多い。他の重症筋無力症サブグループとは異なり、IgG4抗体が病態生理の重要な役割を果たしており、HLA-DQ5との関連がある。
MUSK関連重症筋無力症は脳神経と球領域の筋力を優位に侵す。患者の1/3が眼瞼下垂と複視を呈する。MUSK関連重症筋無力症の40%以上で球症状が初発症状であり、基本的に顔面、咽頭、舌の筋力低下も伴い、しばしば頸部や呼吸筋も筋力低下を呈する。四肢筋力低下は一般的ではなく、外眼筋は障害されないことがある。筋力の日内変動はほとんどなく、筋萎縮を呈することもある。

6-5. LRP4関連重症筋無力症
LRP4はシナプス後膜に発現している。この蛋白は、神経から分泌されたagrinの受容体であり、MUSKの活性化因子であることから、AChR機能を維持するのに必要である。LRP4抗体は、AChRおよびMUSK抗体が陰性の重症筋無力症の2-27%に認められており、女性に多いことが知られている。ほとんどの患者が眼筋型または軽度の全身型重症筋無力症を呈し、20%の患者は2年以上にわたって眼筋にしか筋力低下をきたさない。呼吸不全は、MUSK抗体が共陽性のサブグループを除き、極めてまれにしか起こらない。LRP4関連重症筋無力症の2/3の患者では胸腺は萎縮しているか年齢相応のサイズであるが、過形成症例も報告されている。LRP4抗体の商用検査は未だ利用可能ではないため、この群は未だ一部の施設でしか同定されていないと思われる。

6-6. 抗体陰性全身型重症筋無力症
AChR、MUSK、LRP4抗体が検出されない重症筋無力症は、病態機序としても異種性が高い。一部の患者は、cell-based methodsでしか検出されないようなAChR、MUSK、LRP4抗原標的に対する低親和性抗体/低濃度抗体を有している。低親和性抗体は生体内で病原性があり、こうした抗体を持つ患者における疾患は、通常検出可能な抗体を持つ重症筋無力症サブグループと類似していると思われる。低親和性抗体は抗体陰性全身型重症筋無力症の20-50%を占める。Agrinとcortactinに対する抗体が、しばしば他の自己抗体と組み合わさって認められる。
他の標的蛋白に対するこれらの機能的関連性は未だ明らかでない。一部の重症筋無力症患者は未だわかっていないシナプス後膜抗原に対する病原性抗体を持つのかもしれない。特定の自己抗体が検出されていない患者における診断は難しい。こうした患者では、重症筋無力症以外の疾患として、筋疾患やそれ以外の疾患も考慮される必要がある。

6-7. 眼筋型重症筋無力症
重症筋無力症の患者の一部では、筋力低下が眼筋に限局する。純粋な眼筋筋力低下を呈する患者でも、特にその早期段階では全身型重症筋無力症を発症するリスクがある。ただし、患者の90%は2年以上にわたってこのサブグループにとどまり続ける。眼筋型重症筋無力症の半数はAChR抗体を持ち、MUSK抗体は極めてまれである。

 

7. 胸腺病理
胸腺腫は重症筋無力症と関連しているが、他の胸腺腫瘍は関連していない。胸腺過形成は、若年発症の重症筋無力症患者のほとんど、および後期発症、眼筋型、抗体陰性疾患の患者の一部で報告されている。胸腺腫を評価するため、重症筋無力症の全患者に縦隔のCTスキャンまたはMRIを実施すべきである。画像診断では、感度と特異性の両方が課題である。
実験的および臨床的エビデンスは、若年発症および胸腺腫関連重症筋無力症が胸腺内で発症することを強く示唆している。筋様細胞および専門的抗原提示細胞は胸腺の構成要素であり、若年発症重症筋無力症で活性化される一方、胸腺腫細胞は筋特異的抗原を含み、抗原提示特性を有する。胸腺上皮細胞におけるAChRの発現は、サイトカインとレセプターのシグナル伝達を介して活性化され、ウイルスによって誘発される可能性があるが、今のところ特異的なウイルスは同定されていない。マイクロRNAは免疫調節過程を媒介し、環境的な出来事によって誘導され、重症筋無力症では異常に発現しているようである。AChRに特異的な自己反応性T細胞は、通常の病巣内監視から逃れて末梢に運ばれ、B細胞を刺激して抗体を産生する。自己抗体のパターン、HLAとの関連、胸腺の病理学的変化、サイトカインパターン、T細胞のサブセットとクローンの違いはすべて、若年発症、後期発症、胸腺腫関連重症筋無力症の誘導メカニズムの違いを示唆している。

 

8. 神経生理検査
神経生理検査は典型的重症筋無力症症状を呈する患者では不要である。これは、診断が特定の抗体検査によって確認できるからである。これらの検査は重症筋無力症のサブグループ分類には役に立たない。しかし、こうした検査は抗体陰性の重症筋無力症の正確な診断のためには重症である。
反復神経刺激試験と単線維筋電図は重症筋無力症患者に対する有用な検査である。単線維筋電図は最も感度が高いが、反復刺激筋電図のdecrementは最も特異度が高い。感度と特異度は検査の質に依存する。神経生理検査と抗体検査を組み合わせても、重症筋無力症を除外することは難しいこともある。われわれの経験では、検査をしても診断に疑問が残る患者のほとんどは、自己免疫性重症筋無力症ではない。

 

9. 重症筋無力症の治療
9-1. 対症療法
運動神経刺激後に神経筋終板のアセチルコリン量を増加させる薬剤は、すべての重症筋無力症サブグループにおいて筋力低下を改善する。対症療法にはピリドスチグミンが望ましい。他のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬、例えばネオスチグミンや塩化アンベノニウムは作用時間が異なり、副作用も異なる。これらの薬剤による患者の改善は、抗体陰性の患者で診断の手がかりとして用いられるほと非常に特異的である。アセチルコリンエステラーゼ阻害によるアセチルコリン分解の抑制は重症筋無力症の最も効果的な対症療法であり、シナプスアセチルコリン放出の増加よりも優れている。ただし、エフェドリンや3,4-ジアミノピリジンによる軽度の効果は認められるかもしれない。観察による効果は非常に明確であるため、無作為化試験は行われておらず、正当化することは困難である。MUSK関連重症筋無力症では、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の効果は低く、副作用が頻発する。最適な投与量は、筋力増強と自律神経系のコリン作動性刺激による副作用のバランスである。臭化グリコピロニウム、硫酸アトロピン、ロペラミドは、ムスカリン作動性の副作用の治療に使用できる。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬による長期治療は安全であり、馴化や累積的な副作用は報告されていない。一部の患者は、症状がまったくないかごく軽度であるにもかかわらず、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の継続服用を選択する。このような患者がアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の服用を継続するのは、習慣や病気の心配からかもしれないし、阻害薬によって自覚症状がかなり改善されるからかもしれない。

図4. 全身型重症筋無力症の治療.

9-2. 免疫抑制剤治療
対症療法だけでは機能的に十分満足のいく結果が得られない重症筋無力症患者に対しては、免疫抑制剤を開始すべきである (表2-3、図4)。治療効果も副作用も用量に依存する。各患者に最適な薬剤用量を見つけることは、最適な薬剤を選択することと同じくらい重要である。効果を最大にし、副作用を最小にするためには、ほとんどの患者には免疫抑制剤の併用が望ましい。プラセボ対照試験や代替治療との比較試験はまれである。一般に、推奨はエビデンスの乏しい多くの研究の総和、またはガイドライン、臨床経験、コンセンサスレポートに基づいている。患者評価のための正式な基準は、治療反応を評価するのに有用である。
プレドニゾンプレドニゾロンは、重症筋無力症のすべてのサブグループで筋力を改善する。プレドニゾンプレドニゾロンは同じ方法で使用され、同等の効果がある。プレドニゾンは肝臓でプレドニゾロンに活性化される。有益な効果は2〜6週間後に現れ、他のほとんどの治療法よりも早い。少数の患者では、全身型重症筋無力症の初期増悪が3週間まで続くことが報告されている。プレドニゾンおよびプレドニゾロンの開始用量は、1日0.75-1.0mg/kgであることが多く、徐々に増量される。隔日投与は副作用を軽減すると考えられており、いくつかの治療ガイドラインで推奨されている。最適な改善が得られたら、薬剤の投与量を徐々に減らし、最大限の効果を得るために必要な最低用量で継続する。プレドニゾンまたはプレドニゾロンは、この治療法ではグルコース濃度が変動するため、糖尿病患者に隔日投与すべきではない。非治療日と治療日で筋力が異なる場合は、低用量 (5-10mg) のプレドニゾンまたはプレドニゾロンを非治療日に追加してもよい。眼筋型の場合、観察研究ではプレドニゾロン投与が全身型重症筋無力症の発症リスクを低下させることが示唆されているが、この観察結果は確認されていない。長期にコルチコステロイドを服用する患者に対しては、耐糖能異常、体重増加、高血圧、骨粗鬆症のリスクを減らすために特別な注意を払う必要がある。英国の登録ベースの研究では、重症筋無力症患者における骨折リスクの増加は報告されていない。
アザチオプリンは重症筋無力症のすべてのサブグループに有効な薬剤であり、プレドニゾロンとの併用では2-3mg/kgが最も有効である。この併用療法は、免疫抑制が必要な重症筋無力症患者の第一選択薬として推奨されることが多く、副腎皮質ステロイド単独よりも副作用が少なく有益である。アザチオプリンの効果は遅発性で、臨床経験では通常6-15ヵ月後に認められ、その後1-2年の間にさらに増強する可能性がある。このためプレドニゾロンとの併用が便利であり、アザチオプリン効果が確立した時点でプレドニゾロンを減量することができる。特に治療開始後数カ月は、白血球減少や肝毒性のリスクがあるため、定期的な経過観察が必要である。チオプリンメチルトランスフェラーゼ活性が低いとアザチオプリン毒性作用のリスクが高くなるので、治療開始前に検査することができる。長期治療も若年者では安全で有効である。アザチオプリンとコルチコステロイドの併用は、重症筋無力症のほぼすべての患者に有効である。眼筋型重症筋無力症の患者は、少量のコルチコステロイド単独投与 (10-30mgを隔日投与) によく反応することが多い。
ミコフェノール酸モフェチルは、プリン合成を阻害し、B細胞およびT細胞の増殖を阻害するプロドラッグである。ほとんどのガイドラインでは、初期の免疫抑制療法が無効であった場合、軽度および中等度の重症筋無力症に対してこの薬剤を推奨しており、多くの場合プレドニゾロンと併用する。この推奨は後ろ向き研究と臨床経験に基づいている。ミコフェノール酸モフェチルは第一選択薬としては推奨されない。2つの前向き比較試験において、ミコフェノール酸モフェチルをプレドニゾンと併用した初回治療として投与しても、追加的な有益性は示されなかった。試験期間は12週間と9ヵ月と短かった。副腎皮質ステロイドの使用中止規定がなく、プレドニゾンの最低用量が1日7.5mgであったため、ミコフェノール酸モフェチルの効果が不明瞭であった可能性がある。この薬剤に対する重症筋無力症のサブグループの反応についてはほとんど知られていない。副作用はまれで、軽度の頭痛、吐き気、下痢が最も多く報告されている。
リツキシマブは重症筋無力症に有効な可能性のある薬剤として登場した。リツキシマブはキメラ型IgG1モノクローナル抗体で、膜貫通型CD20抗原に特異的に結合し、あらゆる種類のBリンパ球を枯渇させる。この薬剤は、第一選択の免疫抑制治療に十分反応しない中等度および特に重症の重症筋無力症において考慮されるべきであると我々は考えている。しかし、対照試験は行われておらず、リツキシマブは完全に確立された治療法とはみなされていない。重症重症筋無力症でプレドニゾロンとアザチオプリンが十分奏効しない患者の約2/3は、この治療でかなり改善する。特にMUSK関連重症筋無力症患者は良好な反応を示すことがオープンおよび非対照試験で示されており、この重症筋無力症サブグループは第一選択の対症療法および免疫抑制療法に対する反応が低いことが多いため、特に重要である。ほとんどの報告では、リウマチ性疾患で推奨されている導入療法が用いられており、リツキシマブ1000mgを2回投与し、2週間後にさらに1000mgを2回投与している。重症筋無力症に対してはより低用量が提案されている。ほとんどの施設では、リツキシマブの追加投与は、効果が長期間持続した後に悪化した患者に対してのみ行い、その場合は有効な最低量を投与している。リツキシマブはプレドニゾロンと併用されることが多く、プレドニゾロンとアザチオプリンとの併用も安全であると考えられている。重篤な副作用として、JCウイルス関連進行性多巣性白質脳症などが他の自己免疫疾患に対するリツキシマブの使用でまれに報告されており、これによって重症筋無力症におけるリツキシマブの使用が制限されている。リツキシマブは、対照的な前向き研究がなく、薬剤費も高いが、MUSKおよびAChR関連重症筋無力症患者の増加に対する早期治療薬としての位置づけがあると我々は考えている。
シクロスポリンとメトトレキサートは重症筋無力症の二次治療薬として有効であることが、前向き対照研究によって示されている。この効果は重症筋無力症のすべてのサブグループで認められる。比較試験は行われていないが、シクロスポリンとメトトレキサートはアザチオプリンと同等の効果があると考えられている。患者には潜在的な副作用、特に腎毒性作用と高血圧について監視する必要がある。
タクロリムスはシクロスポリンと類似している。小規模 (34例) の無作為化非盲検試験で、タクロリムスと併用した場合、プレドニゾンを52週以降に減量投与できることが示された。しかし、80人の患者からなる大規模な二重盲検試験では、この所見は確認されなかった。この試験の期間はわずか28週間であり、プレドニゾン単独の治療効果は予想以上であった。グルココルチコイドの効果が不十分な患者を対象に、タクロリムスとプラセボを比較する新しい試験が進行中である (NCT01325571)。タクロリムスには、リアノジン受容体を介した筋小胞体からのカルシウム放出にも効果があり、理論的には重症筋無力症患者の筋力改善につながる可能性がある。

9-3. 胸腺切除術
多くの研究が重症筋無力症における胸腺切除術の大きな効果を報告している。これらの研究には対照群も含まれているが、前向き無作為化研究は行われていない。若年発症の重症筋無力症に対しては、発症後早期の胸腺切除術を推奨する。すべての胸腺組織を摘出する必要がある。ビデオ支援胸腔鏡やロボット支援による方法はよく確立されており、使用する施設も増えており、通常患者に好まれている。胸腺切除術は若年性重症筋無力症に対しても安全であり、5歳くらいまで可能である。胸腺切除術に対する反応は、数ヵ月後に徐々に改善し、追跡調査によると術後2年まで続く。胸腺切除術後に他の自己免疫疾患が改善した例はない。胸腺切除術は、胸腺腫が発見された場合、またはそれが強く疑われる場合に、局所圧迫や胸腔への転移を避けるため、腫瘍学的介入として実施すべきである。重症筋無力症に対するいかなるプラスの効果も、若年発症のサブグループよりも胸腺腫の方が予測不可能である。
後期発症重症筋無力症における胸腺切除術の使用については議論がある。胸腺が萎縮している後期発症患者、または60~65歳以上で発症した患者では、このグループに対する手術を支持する説得力のあるデータがないため、胸腺切除術は推奨されていない。しかし、一部のガイドラインでは、画像上胸腺が肥大しており、titinやリアノジン受容体に対する抗体がない後期発症の若年患者 (60-65歳まで) に対しては、若年発症の重症筋無力症患者と同様に治療することを推奨している。若年発症の後期重症筋無力症患者では、胸腺が病態に関与している可能性が高く、胸腺切除術に対する反応は若年発症の場合と同様であると予想される。
胸腺切除術は、MUSK型、LRP4型、または眼筋型の重症筋無力症患者には、治療効果が示されていないため推奨されない。全身型重症筋無力症で低親和性AChR抗体をもつ患者の場合、胸腺過形成を画像で確認することは通常不可能である。このような患者は胸腺切除術に反応すると予想されるが、抗体陰性の他の重症筋無力症患者と区別することはできない。
胸腺切除術は早期に行うべきであるが、決して緊急ではない。手術の直前に免疫グロブリンの静脈内投与や血漿交換を行うことで、重症筋無力症の症状が改善し、合併症のリスクが減少し、回復が早まる。

9-4. 支持療法
身体活動や低強度・中強度のトレーニングは、重症筋無力症患者に短期的・長期的な利益をもたらす。筋力低下は筋肉の反復使用によって増大するが、重症筋無力症患者でも、長期的な身体能力を向上させるために、強度と時間を調節できる活動を見つけることができる。運動後の休息は必要である。重症筋無力症のトレーニングプログラムに関する対照研究は発表されていない。
筋力低下を伴う他の疾患と同様に、体重管理が重要である。このようなコントロールは、呼吸筋の病変がある患者では特に重要である。重症筋無力症患者における感染症は、重症筋無力症の増悪を招き、呼吸障害を助長する可能性があるため、早期かつ強力に治療すべきである。
神経筋伝達に悪影響を及ぼす薬物は避けるべきである。D-ペニシラミンとテリスロマイシンは重症筋無力症患者に投与すべきではなく、ウロキノロン系抗菌薬、アミノグリコシド系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬、神経筋遮断薬はしばしば疾患の悪化を引き起こす。麻酔中の神経筋遮断薬の使用には注意が必要である。重症筋無力症患者の治療では、呼吸を抑制する可能性のある鎮静薬は避けるべきである。新しい薬剤を投与したときに患者の状態が悪化した場合は、その薬剤を中止すべきである。しかし、軽症から中等症の重症筋無力症患者や安定した寛解期にある患者のほとんどは、相対的注意のある薬剤に耐容性があり、ほとんどの薬剤は注意して使用することができる。

 

10. 筋無力症クリーゼの治療
クリーゼは、疾患に関連する筋力低下によって、呼吸補助のために挿管を必要とする状態と定義される。治療には、呼吸補助のための集中治療、感染の治療、バイタルモニタや早期離床が含まれる (図5)。経静脈免疫グロブリン血漿交換は、2-5日で早期に効果を発揮する特異的な免疫抑制治療であり、重症の重症筋無力症の増悪やクリーゼで用いられるべきである。これら2つの治療選択肢は同等の効果を発揮し、片方に反応が悪く片方によく反応することもあるため、必要があれば連続して用いることもできる。経静脈免疫グロブリンは、わずかだが高い利便性を持ち、かつ重度の副作用リスクが低い。一方、血漿交換はやや効果発現が早い。抗体は連続的に産生されるため、治療効果は基本的に2-3か月に限定される。血漿交換と経静脈免疫グロブリンは効果が低下した際に反復することができる。長期の改善を確保するため、この治療は標準的な免疫抑制治療と組み合わされて行われる。クリーゼ前よりも高用量、または他の薬剤と組みわせることが必要である。経静脈免疫グロブリン血漿交換に反応しない急性増悪では、高用量ステロイドが試される。重症筋無力症クリーゼは可逆的な状況である。治療反応性が遅れることもあるが、集中治療と積極的な免疫抑制治療をできるだけ長く継続することが必要であり、これは時に数週間にわたる。

図5. 重症筋無力症の増悪の治療.

10. 結論と将来の方向性
重症筋無力症患者の大部分は経過が良好で、病状もコントロールされている。しかし、ほとんどの場合、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬による長期にわたる薬物治療と、通常低用量の免疫抑制が必要である。病因となる自己抗体はよく特徴付けられており、重症筋無力症のサブグループはそれに応じて定義されている。しかし、治療は抗体特異的とは言い難く、疾患サブグループに特異的でさえない。重症筋無力症ではまだ十分に試験されていない多くの新薬や伝統的な薬剤は、直接的または間接的に自己抗体の産生を抑制する作用機序を有しており、重症筋無力症患者にとって有益である可能性がある。標準治療で十分な効果が得られない重症の患者で、自己抗体の存在によって診断が確定され、症状の原因として併存疾患がない場合には、このような薬剤を、適応外であるが、厳密なモニタリングのもとに試みることができる。これには、他の自己免疫疾患で効果が証明されているモノクローナル抗体薬も含まれる。補体系のいくつかの因子に焦点を当てた補体阻害は、いくつかの可能性のある戦略の一つである。エクリズマブ、ベリムマブ、レフルウノミド、エタネルセプトは、重症筋無力症の新たな治療選択肢となる可能性のある薬剤であるが、免疫活性薬剤の中には重症筋無力症を誘発したり、悪化させたりするものもある。Tirasemtiv (CK-2017357) は、トロポニン複合体に結合することにより、速筋骨格筋を選択的にカルシウムに感作し、神経筋疾患により神経入力が低下した場合に筋反応を増幅させる。第2a相プラセボ対照無作為化試験において、用量に関連した短期的な改善が報告された。機能的に関連した長期的な患者への恩恵はまだ証明されていない。また、免疫系と骨格筋に関連するいくつかの非抗体因子は、個人の筋力と免疫反応に影響を及ぼし、それによって各患者の重症筋無力症の症状に影響を及ぼす。
重症筋無力症における筋機能に関連する因子の多さは、バイオマーカー (自己抗体) の評価とモニタリングに基づく、個々に適した治療アプローチに向けた今後の研究の原動力となるはずである。その目的は、他の免疫反応に影響を与えることなく、抗AChR、抗MUSK、抗LRP4免疫反応を抑制することである。別のアプローチとしては、重症筋無力症を誘発する抗原 (AChR、MUSK、LRP4) に対する免疫寛容を促進する治療が考えられる。抗体が検出されない重症筋無力症患者は、おそらく神経筋接合部の未検出抗原に対する病原性抗体を持っている。ただし、T細胞を介した抗体非依存性の神経筋伝達機序を持つ自己免疫性重症筋無力症は理論的には存在しうる。
重症筋無力症の原因が同定されれば、たとえばワクチン接種によって、その原因を回避したり、予防したりすることが可能になるかもしれない。しかし、抗原特異的な治療法が確立されるまでは、重症筋無力症のサブグループに対する新しい免疫抑制剤や薬剤の併用療法を研究対象とすべきである。前向き対照研究を奨励し、支援すべきである。重症筋無力症は可逆的な疾患であり、強さと楽観性をもって治療されるべきである。

 

感想
サッと読める総説って感じ。